彼氏いない歴=年齢の喪女、後藤美奈子!
初めて出来た彼氏には、どうやら本命の彼女がいたらしい・・・。
私は浮気相手だった。
第一話はコチラから。

あの素晴らしき日々をもう一度
ネットゲームで出会いお付き合いをするに至った初めての彼氏マサヒロには、本命の彼女がいた。
2ヶ月ほど涙に暮れ、「魂が抜けた」なんて言うけど、本当に魂って抜けるんだなぁ・・・とボンヤリ思った。
しかし、3ヶ月もすると立ち直る事が出来ました。女は強し・・・!
そして心に思った事・・・それは「もう一度彼氏が欲しい!!」という事でした。
懲りてねーのかよwwwって感じですが、だあああああってさあああ~~~!!!
なんなの、あの薔薇色の日々は!?
男の人ってなんであんなにも男なの!?
嬉しい事は2倍、悲しい事は半分、って本当だったんだよ!?
なぜ愛を歌うJ-POPにあんなにも心揺さぶられ目から汁が出てしまうの!?
お正月もバレンタインもホワイトデーもお花見もGWもお祭りも花火大会も紅葉もハロウィンもクリスマスも、何も怖くない!だって、彼氏がいるから!!
彼氏がいる、って最強じゃない!?
なんだコレ!?クッソ楽しい!!!
Ah~~~~~~~~
もっかい彼氏ほしいっ!!!
なんと言っても私はまだ20代。(正確には28歳)
巷では、20代の女性は売れ行き好調で、30を超えると暗転直下の急降下なんだとか。
となると、28歳の今は売れ時ギリギリセーフってわけだ。
フフフ・・・よっしゃ!売ったるで!在庫処分と銘打った大安売りバーゲンだ!!
「売れ時だった20~27歳のあいだ誰にも言い寄ってもらえず処女だったくせに何という世迷言を叫んでいるのか」
浮足立つ私に、もう一人の冷静沈着な私が問いかける。が、そんな現実めいた言葉はスルーに限る。
初めての合コンに参加する
初めての彼氏には本命の彼女がいて、しばらく落ち込んでいたかと思うと突然「もう一回彼氏が欲しい!」と声高に叫ぶ私に、周りの友人たちは優しかった。
中でも高校からのヲタ友が、なんと合コンをセッティングしてくれたのだ!
面子は、友人♀、友人の彼氏♂、友人の彼氏の友人♂、私♀。
合コンというよりかは、友人の彼氏のお友達の紹介かな?
友だちカップルが仲人として、1vs1のお見合いみたいなモンでしょうか。
マサヒロはネットゲームで知り合ったゆえに身元の知れない人物だったけど、友人の彼氏の友人とあらばそんな心配はない。
友人いわく
「ちょうど彼女と別れちゃって寂しいらしい」(あらぁ、私も同じよ・・・)
「浮気をされたらしく、今度は浮気しないような男性経験の乏しい女性を探してる」(だから私が抜擢されたのか・・・)
「優しくて面白い」(!?)
んだとか。
優しくて面白い・・・!?
優しくて面白いって、バリバリモテ要素つまってんじゃん・・・!!
小学生の女児に「どんな人がタイプ?」って聞いたら9割方返ってくる言葉じゃん・・・!!!
期待していいのかしら・・・!?否が応でも期待しちゃうわよ・・・!!?いいっ・・・!?
私の頭の中でどんどん理想の王子様が出来上がっていった。
そして合コン当日。
私は「優しくて面白くてちょっと俺様な爽やか身長178cmのスポーティー黒髪イケメン」との出会いを求めて家を出た。
え?
いやいや、
「優しくて面白い」という質素な情報に調味料というスパイスを加えただけよ?塩しょうしょう、胡椒しょうしょう。
何と言っても「優しくて面白い」と言えば、ちょっと俺様で爽やかで身長は高めでスポーティーで黒髪でイケメンである事は鉄板でしょう。
嗚呼・・・!めくるめく薔薇色の日々!Please!ワンモア彼氏!!!
・・・そんな私をぶん殴るかのようにシャレオツな個室居酒屋で待っていたのは、怪獣のような顔の男性であった。
名は「ヒロキ」さん。
顔の作りが雑・・・って言うんですかね・・・。なんか色々散らばってるっていうか・・・。
そんな顔が残念でしたで賞は、
「美奈子ちゃん可愛いからモテるでしょ~?」
「大丈夫?この部屋ちょっと寒い?」
「浮気された者同士として友だちから始めましょう(笑)」
話してみると確かに優しくて面白い男性であった。
だってブスで喪女な私の事を「可愛いからモテる」と評するなんて、優しさの塊でしょう。
でもなぁ・・・顔がなぁ・・・。
顔がもうちょっとだけ整理整頓されていれば・・・・・!
場はそれなりに盛り上がり、じゃあカラオケ行こうカラオケ!という流れに。
居酒屋からカラオケへ行く道中、友人カップルが少し離れたところを歩き、ヒロキさんと実質2人きりな雰囲気になる。
「普段何歌うの?」
「ん~・・・特に決まってないですね。というか、そんなにカラオケって行かないので(笑)」
「じゃあ、AKBの”会いたかった”歌ってよ!」
「えええ!!!そんな可愛らしい歌無理ですって!!!」
「イケるイケる。俺踊れるから美奈子ちゃん歌って。」
俺踊れるって・・・その顔で?
と心の中で突っ込んでしまうイケナイ私・・・。
ブスな私がAKBを歌い、不細工なヒロキさんがAKBを踊る。
何かのギャグじゃん・・・。
そんなこんなでカラオケ店に到着。
もはや逃れられない状況で「会いたかった~♪イエス!」熱唱する私。
そして、割と完璧に女子ダンスをするヒロキさん。
そんなヒロキさんの姿を見てドン引き。
いや~~~盛り上げようとしてくれてるんだろうけどさぁ~~~。
でも、その顔でそのダンスはキッツイわ!!!
尚、歌声はまぁ可もなく不可もなくでした。
カラオケではヒロキさんと隣の席に座っていたが、これまた距離が近い。
ちょっと飲み物をとると肘が当たるくらい近い。
男性経験の少ない私は異性がこれだけ近い距離にいるとドギマギして緊張のあまり頭が真っ白になるはずなんだけど・・・
残念ながら何のドギマギもない。
「美奈子ちゃん、次はなに歌うの?」
「ええと~・・・どうしようかな」
「これ歌ってよ、俺好きなんだよね」
「サビしか分かりませんよ~」
「じゃあ一緒に歌おうよ」
終始こんな感じでリードしてくれる優しいヒロキさん。(でもね、顔がね・・・)
その日は連絡先を交換した後、解散した。
帰りの電車の中でぼんやり考える・・・。
ヒロキさんは私の事「ちょっとイイナ」って思ってくれてるのかな・・・?
確かに優しくて面白くて良い人だ・・・でも・・・でも・・・・・!
顔が怪獣みたいなんだーーーーーー!!
つづく